ヴィアレブについて
進行期パーキンソン病の課題と、ヴィアレブによる治療についてわかりやすく説明しています。
ヴィアレブによる治療とは
ヴィアレブ皮下投与システム
ヴィアレブは、皮下に投与するために開発されたレボドパ含有製剤です。
皮下※に留置したカニューレ(細くて柔らかい管)を介して、専用の輸液ポンプから切れ目なくヴィアレブを投与します。
ヴィアレブは
- 手術を必要としない持続皮下投与製剤です。
- 専用の輸液ポンプからカニューレを介して、一定量が少量ずつ皮下※に注入されます。
- 患者さんの個々のニーズに合わせた用量調整ができます。
※ 本剤は皮下にのみ投与すること。本剤は、臍から半径5cmの部位を避け、腹部に皮下投与することが望ましい。
腕又は大腿部への投与による長期の安全性及び有効性は確立していない。
治療を開始するタイミング
ヴィアレブによる治療を開始するタイミングとして、以下のような場合が考えられます。
- 通常の飲み薬や貼り薬では十分な効果が得られず、使用回数が増えた
- ウェアリングオフの時間が長くなった
- ジスキネジアなどの症状があらわれてきた
※ ウェアリングオフとは、お薬の効果の日内変動のことで、お薬の効果がある時間をオン時間、効果が切れた時間をオフ時間といいます。
ジスキネジアとは、身体が勝手に動く症状のことです。
【ヴィアレブ効能又は効果】
レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善
※ ジスキネジアなどの症状があらわれた患者に対して適応はありません。
<参考>機器を用いた治療の開始を考慮するタイミング
5-2-1基準に加えて、姿勢がうまく保てなかったり、首や手が勝手に動く、足がすくんでしまう、夜眠れない、日常生活に支障があるなどの症状が見られる場合、パーキンソン病の機器を用いた治療の開始を考慮します。
主治医によく相談していただくことが大切です。
*ジストニアは手や体がねじれるような動きで、 日常生活に支障をきたす疾患です。
Antonini A, et al.: Curr Med Res Opin. 2018; 34, (12): 2063-2073.[ PMID:30016901]
ウェアリングオフとは、お薬の効果の日内変動のことです
パーキンソン病のお薬を飲むと症状はよくなりますが、お薬を飲んで2〜3時間経つと、効果が切れて症状が戻ってくる
現象をウェアリングオフといいます。
お薬の効果がある時間をオン時間、効果が切れた時間をオフ時間といいます。
ジスキネジアとは、身体が勝手に動く症状のことです
お薬が効いている時間帯に手足が勝手に動く症状をジスキネジアといいます。ウェアリングオフが出始めた時期から
少し遅れて出てくることが多いとされています。
なぜ、ウェアリングオフ・ジスキネジアはあらわれるの?
病気が進むに伴って、お薬であるレボドパの効果の出る血中濃度の範囲(有効治療域)が狭くなると考えられているためです。
複数回に分けて服用する飲み薬では、血中濃度を有効治療域に安定して維持することが難しくなると考えられます。
病気の進行に伴って、お薬の効果の出る血中濃度の範囲が
狭くなると考えられています
イメージ図
柏原健⼀: 薬物療法の基礎としての神経薬理: GP・レジデントのためのパーキンソン病テキストブック, アルタ出版, 2012; 101-120 の記載を基に作成
さらに、食べ物をスムーズに飲みこめない嚥下障害が起きることや胃や腸の動きが悪くなることが関係しているといわれています。食事の影響も受けることで小腸からのお薬の吸収が不安定になり、飲み薬では安定した血中濃度を維持することが難しくなると考えられます。
嚥下障害
●食事に時間がかかる
●食べ物や飲み物がつかえたり、むせやすくなる
●唾液が口のなかにたまりやすい
⇒お薬をうまく胃腸へ送り出せず、お薬の吸収が不安定になる
病気の進行に伴う胃の動き
治療を開始するメリット
ヴィアレブは安定した血中濃度を維持できます
ヴィアレブは昼夜問わず24時間持続的に投与し、安定した血中濃度を維持することで、オフ時間の短縮やオン時間の延長が期待されます。
また、皮下投与のため、食事などの影響を受けにくいとされております。
ヴィアレブ開始後のレボドパ血中濃度の推移
※ お薬の効果がある時間をオン時間、効果が切れた時間をオフ時間といいます。
治療開始までの流れ
ヴィアレブによる治療を開始する前に、それまで服用していた飲み薬からヴィアレブの投与量を算出します。
その後、ヴィアレブの持続皮下投与を開始してお薬の量を調整していきます。